「バナナ・パンケーキの会」と称して集まるママたち。 実態は「月1のエロ会」

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出産後、120%の愛情を注ぎながら育児と家事をこなすママ。自分のことはいつだって後回し、そんな頑張り屋さんだからこそブチ当たるのが「私ってなんなんだろう…」という、アイデンティティーの壁。
そんなママたちのため、発起したのはなんと“アダルトショップの女性オーナー”。月1、ママ同士で集まって喋り倒そう、と。ただし、そこで繰り広げられるトークは旦那の愚痴でも育児の大変さでもない。
ちょっと(かなり)過激なセックス・トークだ。

※このコンテンツは過激な言葉を含みます。

アイキャッチ

アメリカ唯一!?“おおっぴら”すぎるアダルトショップ

「子育てはここがいい」とファミリー層に人気のエリア、パークスロープ地区。由緒正しいブラウンストーンが立ち並ぶ閑静な風景に堂々と佇むのは、なんと一軒のアダルトショップ。
 が、日本のそれとは違って、あの“入店する時の罪悪感”を一切感じさせない「全面ガラス張り」の外観は、お洒落ブティックかと思わせる程で、妙に近隣に馴染んでいる。

「ここ『Please』はアメリカで唯一の“おおっぴら”なアダルトショップだから」。 ハスキーボイスで自負するこの美魔女こそ、オーナーのSid Azmi(シド・アズミ)。真っ白のジャケットに、黒のワイドパンツを着こなす、エネルギッシュな女性だ。

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 今回ここにやって来たのは、バイブレーターを買うためではなく。月に一度の「バナナ・パンケーキの会」のママ会の実態を探るため。仲良く流行のパンケーキでブランチ、ではなく、自身のエロ経験談にマスターベーションの習慣、理想のセックスや好みのアレなどを暴露し合うという、刺激的な“夜会”だという噂を耳にしたのだ。

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育児、旦那の愚痴、一切ナシ。

 自身も子を持つシングルマザーのシド。「子どもがまだ小さい頃、子育ての苦労を同じ環境のママ達と共有するのが励みだったわ。でもそれ以上に、子育て以外のことももっと話したかった。で、同じ考えを持つ学校のママ友と集まり出したの」。子育てに追われる日々の中で、「一体私って、なんなんだろう」と、自分のアイデンティティーが失われていくのに気付いたのが開催のキッカケだった。

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「Banana Pancakes(バナナ・パンケーキの会)」と呼ばれるこの夜会のルールはふたつ。参加者はママ限定。ダイナミックに話し合えないから、眠っている小さな子どもを連れてくるのもダメ。もうひとつは意見を批判しないこと。「女性って批判したがるでしょ?ここではNG」。従って「えー、まじ?ありえない!」や「それっておかしい。絶対こうした方がいいわよ」はご法度。ここは完全なるジャッジメントフリーゾーンなのだ(風紀を乱すママはシドに追い出されちゃいます)

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 閉店後の午後9時半。ゾロゾロと集まり出したことろでカーテンを閉め、コーヒーでリラックス。毎月10人前後のママが集い、日をまたぎ最後の一人が帰るまで、ノンストップでマシンガントークが繰り広げられる。

「旦那と三ヶ月ご無沙汰?いいじゃない。誰も笑ったりしないわ」

 セックストークに抵抗を感じない筆者(むしろ好きですっ)だが、さすがに初対面の方々の前でベラベラとセックス武勇伝を語るのは少々腰が引ける。「最初はみんなそう。だからまず私が自分の体験談を話すの。本音で話し合えるよう弱い部分も素直に見せる」。なるほど、まずは話しやすい雰囲気作りからはじめるらしい。

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 参加者はシングルマザーに小さい子を持つママ、もう子どもがひとり立ちした熟年ママなど様々。気になる内容も「旦那と三ヶ月ご無沙汰」「週3回のアブノーマルセックスは欠かさない」「70代でも現役バリバリ」など十人十色だ。同じ立場でも、環境が違うママが集うからこそ刺激になる。また、等身大のママ目線で話し合うことで“みんな味方”感が出て、結束が強まる。

「ここでは誰もあなたのことを笑ったりしない。問題が解決しなくたって、話すだけでスッキリすることあるでしょう?夜会後のママたちの表情はみんな晴々。『出産後、女性としての魅力がなくなったんじゃないかって不安だった。でも、今夜旦那を誘ってみるわ!』なんていうママもいたわ」

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ママになったらすべてが変わる

「私は女友だちと飲み歩くのが大好き。だけど小さい子を持つママがそれをしちゃったら『悪いお母さん』のレッテルが貼られるわ 」。ママになった瞬間に生活のすべてが変わる、とシドは話す。

“子どもを産んだら、あなたはいつだって、女性である前にお母さんであるべき”

 これに疑問を感じる女性がたくさんいたとしても、声を大にはしない。それは社会やメディアがコントロールする理想のママはこうでなきゃ、というイメージのせいなのかもしれない。

「出産後は子ども中心の生活になりがち。でもね、カレンダーを見てみて。どのくらいの時間を子どもと一緒に過ごしてる?あなたが子どもを愛してること、みーんな知ってるわ。ていうか、死ぬ程痛い思いをしてこのちっちゃいアソコから産み落とした自分の子ども、愛してないわけないでしょう?」。たとえば一週間のうちの一日、夕方の数時間だけバーに飲みに行ったっていいじゃないか。そうやって自分の時間もしっかり持ちつつ、楽しく子育てしたっていいじゃないか。が、彼女の主張だ。

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 それに、やっぱりいくつになっても女性でいたい。昔みたいにセックストークだって思いっきり話したい。バナナ・パンケーキの会はママたちの自己肯定の場であり、悩みを共有する場であり、思いを散々にぶちまけてまた前向きに家庭に帰るための、“充電場所”なのだ。

 シドの持論には、自身の育児経験に裏打ちされた説得力と相手をポジティブに変えてしまうパワーがある。悩みを持つママが赤裸々にそれを打ち明け笑顔になって、さらに「これいただくわ」なんてどこか自信に満ちた表情でおもちゃを買って帰っていく。こんなハッピーなママ会、私もいつかママになったら参加したいなぁ。

【さて、せっかくアダルトショップを訪ねたんだもん。ここぞとばかり、筆者が代表して聞いちゃいました。
セックスに関するアレコレ、続編・オーナー、シドのセックス講座へ】
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Photos by Tetora Poe
Text by Yu Takamichi

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