認識と闘う「A BLACK BODY」
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「絵本に、肌の黒い王子様もお姫様もでてこないよね」
「ねえ、肌の黒い人のニップルズ(乳首)って、何色なの?」
幼少期、白人の同級生にぶつけられた、何気ない、しかし幼さゆえ容赦ない言葉と質問。
見えづらくなっただけで、肌の色に対するネガティブな認識と偏見は確固として存在する。だから彼女は、ドレッドヘアの「いわゆる“黒人”」のポートレイトを撮り続ける。その認識・偏見と向き合い、ありのままの黒人という存在を伝えるために。

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Ronan Mckenzie (ロナン・マッケンジー)はロンドンを拠点に活動する弱冠21歳のフォトグラファー。昨年末にエキシビション「A BLACK BODY」を開催し、“BLACK BODY(黒人)”のノーマライゼーション(標準化)を 声高に主張する。

「生まれも育ちも多人種・多文化社会であるロンドン。だけども私自身、幼い頃からずっと、明るい肌の色・美しいストレートヘアー・スリムな体型な人を美しいと思ってきたわ。

なぜなら、それしかメディアから入ってくる“美しさ”がなかったから。

だけど少しずつ年を重ねていく中で、気づいたのは、“私は私”であることへの心地よさ、そしてBLACK BODY(黒人)の美しさ。いまは過去の自分を天に恥じる思いだわ」

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「肌の黒い主人公は、どこ?」

 欧米圏でのテレビドラマ、本や広告、絵本に登場する“主人公”に黒人が起用されることはいまだ少ない。エミー賞を黒人として初めてドラマの主演女優賞を受賞したヴィオラ・デイヴィスが「有色人種の女性と、その他の女性方をわけるたった一つの一線とは、“機会”なのです」とスピーチで語ったのは、昨年のことだ。

「このエキシビションでは“黒人である”ということに対し、自信と心地よさ、そして美しさを認識してもらいたい。アイデンティティを否定してまで、肌の白い人の“ふり”をするのはとても悲しいこと」

 彼女は続ける。

「黒人のアイデンティティもみんな違うんです。たとえば黒人男性に対し、強そう・パワフル・筋肉隆々みたいなイメージがあるでしょ?肌の色でその人を認識する、決めつけることにはもううんざり。肌の色以前に、誰しもがまず第一に“人間”であり、一人一人が“違う”という当たり前のことを見せたい」

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現在に至るまで、BLACK BODY(黒人)の民主化は謳われ続けてきた。2015年は、前述のヴィオラ・デイヴィスもふくめ、ランドマークの年だったといえよう。#BlackLivesMatterというタグがオンライン上でバズを起こしたり、モデルのリンジー・モンテロは世界のランウェイにおいて自身のナチュラルアフロでひっぱりだこ。
しかし、そんなご時世でもなお、世界を股にかけるブラックトップモデルでさえ例外を除いて「ストレートヘアのウィッグを被らされる」現実がある。

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「細い筋肉質の長い足、おしりがきゅってあがっていたりとか、黒人女性の“いわゆるセクシー”である必要はない。彼女を見て。自分自身(黒人)であることに揺るぎない意志を持って、満ち足りているでしょ」

 ありのままに写る下着姿の母親は自然体ゆえ、それを鮮烈に物語る。母親を写したことこそ、同プロジェクト始動のきっかけだった。

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ロナン、セルフ・ポートレイト

「変えてみせるわ、“認識”というものを。よりポジティブに」
 いまある現実と、自身の体験が彼女を突き動かす。 A BLACK BODYに関連するZINE2冊の出版が控え、近々ブラックモデルエージェンシーも設立する彼女。信念を携えて前に進む彼女の見据える先の世界は、少しずつだが、確実に変わろうとしている。


Photos by Ronan Mckenzie /Instagram@ronanksm
Text by Shimpei Nakagawa edited by HEAPS

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