この間までフツーのお母さんがビジネス開始。 それは「レンタルお母さん」。お母さん代行サービスだった!
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お母さん、ママ、お袋、母ちゃん。
いくつになっても、母親は恋しいもの。が、「ほっといてよ」というときに限って、根掘り葉掘りいろいろ聞いてきて、いて欲しいときに限っていないなんてのも、彼女たち特有の“間の悪さ”がある気がする。その抜け具合もまたいいんだが。

その間の悪さを埋め合わせ、あなたが必要なときにお母さんをしてくれる、「お母さんレンタルビジネス」がはじまりました。
はじめたのは、とある「お母さん」。

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image by Zebadiah Keneally

失恋相談、部屋の整理整頓。母さんはなんでもしてくれる

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photo by Chris Carr

「ビジネス母さん」に転身したベテラン母さんは、Nina Keneally(ニナ・キナリー)。
あなたの母さんやりますよ、と母さん代行サービス「Need A Mom (ニード・ア・マム)」
をはじめた。サービス名、わかりやすくていい。

サイトでニナ母さんのサービスを見てみると、こんな感じ。

・悩み相談
・履歴書添削(!)
・独りで寂しいときに一緒に映画を見る
・パイを作ってあげる

これ、本物の母さんよりいろいろやってくれるんじゃ?
気になる料金は、1時間40ドル(約4,700円)。高いのか安いのかは、あなたの気持ち次第だろう。
ニナ母さん、会ってみたい。ということで連絡してみると快く会うことを承諾してくれた。さすが母さん。

タイトなパンツにスニーカーな母さんが登場

それからピアスにブレスレット。スタイリッシュな着こなしだ。
筆者に気づくなり、とっても朗らかな笑顔を顔いっぱいに浮かべ軽やかな足取りでこちらに歩み寄る。そして、“徹子の部屋”を思わせるハイピッチボイスで早口に話しかけてきた。

HEAPS(以下、H):今日はお会いできて嬉しいです。早速インタビューをはじめてもいいですか?

ニナ(以下、N):私もよ。ええ、どうぞどうぞ、はじめて頂戴。

H:いつみんなのお母さんをはじめたんです?もともと、舞台関係の仕事でバリバリやっていたと聞きました。

N:20代をニューヨークで過ごして、若い頃は芝居をやっていて。その後は舞台関係のプロデューサーとして35年業界にいたの。

H:大御所ですね。

N:ふふ。その頃はコネチカット州に夫と住んでいて。でもニューヨークという大都市が恋しくなっちゃって2年半前に戻ってきたわ!

H:そしてこの母さんビジネスに転身?

N:そう。ヨガクラスに通ったり、犬の散歩をしたり、地元のアートコミュニティーでボランティアをしていたら自然に若い人たちが周りにいてね。彼らは何か人生への疑問や問題を抱えているとアドバイスを求めて相談に来るようになったの。

H:わかる気がします。邪険にせず聞いてくれそう。

N:そんなもんだから、何か新しいことを始められないかなって思って。
私にあったのは、35年間舞台のプロダクションに携わって得たビジネススキル。薬物・アルコールのカウンセラーとして8年間働いたこともあって、その経験。そして、28歳と31 歳になる息子たちを育ててきた母親としての年月。

それらを集約したら、このビジネスにいき着いたの。で、もしうまくいかなかったらこう言い訳しようとも思って。
「ここはブルックリンのブシュウィック(アーティスティックな街)。これはアートプロジェクトの一環なの」って。あはははは。

H:(笑)。実際に申し込んできた若者たちには、これまでどのようなことをしてあげたんでしょう?

N:そうね…。大学を出たばかりの女の子の一人暮らしを両親に説得させるための「予行演習」でしょ、あとは失恋の傷心を聞いてあげたり…。
ある時は、アパートの屋上で違法なパーティーをしたことで大家から退去させられた男の子たちがいて。退去はしょうがないって彼らも受け入れたんだけど、大家が前払金を返してくれないってことで、大家宛の手紙を書くのを手伝ったわ。結果、お金返ってきたのよ!
あとは、犬の散歩がてら一緒に話しながら歩いたり、クローゼットの整理をする女の子の部屋で、ベッドの端に座って雑談したこともあるわね。

H:やっぱり皆、実の母親よりもあなたの方に心を開きやすいのでしょうね。

N:うーん、まあそうかもしれないわね。実の親に言いづらいこともあるじゃない。LGBTの子たちとか。

H:近年、“ミレニアル世代”(1980~2000年頃に生まれた若者を指す)という言葉をよく耳にします。母さんの顧客もその世代の若者中心のようですが。あなたの目から見て、彼らをどう思いますか?

N:みんな働き者で賢くて、野心家。でも安定した職に就いて経済的に独り立ちするのは大変よ。特にニューヨークで生きていくのはタフだと思う。
だからそれでも必死で頑張る若者たち、私は大好きだし、感心するわ。
人々はよく若者のことを「まだ大人になりきれていない」というけど、“自然に前進して”みんな大人になると思うのね。
だからフリーランスだったりカフェで働いているいまの若者のライフスタイルを50、60歳代くらいの世代が理解せずに、「ミレニアルキッズ」と一括りにすることはちょっといただけないかも、私は。
まあレッテルを貼るのっていまにはじまったことではなくて、私が大学生のときはみんな私たちのことを「ヒッピー」って呼んでいたけど。あはははは。

H:いまの若者たち、現代ならではのストレスとかは?

N:私の顧客はそんなそぶりは見せないけど、確かに抱えてると思うわ。特に大都会ではね。キャリアにおいても競争社会だし、通勤時間だってかかる。私が若かった頃は携帯電話代もインターネット代も気にしなくてよかったけど、いまはみんな払わなきゃいけないし、お洒落な話題のレストランもチェックしないといけないと、って。

H:では最後に。ニナ母さんが考える、母親像と言いますか、“母とは” という哲学はありますか?

N:そうね、母親って(あ、父親もね)、我が子の近くに常に寄り添って、あれやこれや気にかけてしまうわよね。そりゃ自分たちの子ですもの。
それはいいことだと思うけど、自らの翼で羽ばたかせてあげないといけないと思う。人は、自分で決断し、間違いを犯し、そして責任を負うことを学ぶ必要があるの。だから子どもたちが問題に直面した場合には、一歩引き下がってみて、彼らに判断させることも大切。
たとえばもし大学生の子どもが、「ホームシックだから週末家に帰りたい」と言っても、私ならこう言うわ「せっかく大学生で楽しい時なんだから週末は自分で楽しみなさい」って。

「あ、あとそれと」とインタビュー終了間際にニナ母さん。「このビジネスにはこういうメッセージも込められているの。私みたいな63歳のおばさんでも、皆から注目されるような新しいアイデアを考案して実行することができるって。女性って50代、60代になると皆の注目の的にはなりづらいでしょう。だから、このビジネスは“私なりのフェミニズム”なの!」

ええっ!63歳!最後にびっくりしましたが(そうか、子ども31歳って言ってたしな)。とにかくエネルギッシュな、いい笑顔でしたよ。
母さんという人生を自分の子育てが終わってからも続けて、いまやたーくさんの子どもたち(顧客)がいますから…。

Need A Mom

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Text by Salita Kia

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