いま一番注目すべき音楽シーンは「ニューオリンズ」!? ジャズとブルースの街の知られざる最新音楽事情

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いま、ニューヨークのブルックリンから、ニューオリンズへ引っ越す人が増えている。

ルイジアナ州ニューオリンズといえば歴史深い古い建築物が素敵な雰囲気を醸し出す中、音楽と芸術が街中に溢れる魅力的な街だ。でもそれは昔からのこと。そして実は、10年前のハリケーンで一部はゴーストタウン化している街。
なぜ「いま」、ニューオリンズなのか?

「超陽気なカーニバル」に視線が集まる

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 ニューオリンズはジャズの発祥地ともあり、音楽の活気はいまも健在。ジャズやブルースが盛んで、通りを歩けば才能ある地元のミュージシャンやアーティストがハングアウトしている。つまりは毎日がミュージシャンたちのパーティーなニューオリンズなのだ。
 それから、年に一度のカラフルで陽気なカーニバル「マルディグラ」にも近年、注目が集まっている。伝統的な謝肉祭で、“世界中から人が集まり街をあげてのお祭り騒ぎ!”だ(今年は、2/9)。
 もともと、アメリカでも“最も個性的な街”の一つでもあるニューオリンズ。フランスをはじめスペインや西アフリカそしてカナダからやってきた「アカーディアン」など多くの国の影響を受け、食べ物や建築物、文化など、アメリカ国内においてアメリカらしくないのだ。

 その超大規模カーニバルもそうなのだが、ニューオリンズが“いま”注目されているワケをひもとくのにさらに重要なのは、最近ではニューヨークの地価の高騰かコミュニティの変化か、はたまた気候からか、ブルックリンからニューオリンズへ引っ越す人たちも増えているということ。ロスやベルリンなど、アーティストは常に住み易い場所を求めて点々とするものだが、最近は周りにも「ツアーで何回も行っている」「姉がそこでレストランを経営している」「昔住んでいた、また住みたいね」など、「ニューオリンズ」と聞いて、嫌な顔する人は誰一人もいない。
 若者が移り住み、アーティストが注目しはじめる。これによって、今までにない音楽とアートシーンに盛り上がりを呼んでいるという噂…。

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Photo by Scott Smith

「そんな魅力的なの、ニューオリンズ?」

 ということで、昨年の2015年11月にバンドのツアーで、初めてニューオリンズを訪れることに(筆者もミュージシャン)。結果を言ってしまうと、想像など遥彼方。超カルチャーショックなアート、音楽の壮大な世界を目の当たりにしてしまった!

 もう一度いうと、ニューオリンズといえばブルースやジャズのイメージ。だが、それはいわゆる“ザ・観光エリア”だ。観光地になるほどカバー・バンドが多く、そこから離れる程インディ系が多くプレイしている。音楽会場が軒並みに並ぶ地区「フレンチ・クオーター」では、ほとんどのバー、レストランでライブ・バンドが演奏していて、バーホップが楽しめる。ジャンルは、ロック、ブルース、ジャズ、ホーン隊が10人以上いるビッグ・バンド、2ピースのエレクトロ・ダンシング・バンド等、ニューヨークでいうウエスト・ヴィレッジというところ。

 そのフレンチ・クオーター地区の右、筆者たちがショーをした「サターン・バー」という地区はバイ・ウォーターと呼ばれ、そこまで会場がひしめき合ってる訳ではないが、インディロックも、エレクトロ、ダンスミュージック、ヒップホップも何でも見ることができる。
 これがまさに(多分)ブルックリンのブシュウィック、という感じ。だが、パーティー自体の規模はブシュウィックより大きく、ビールは半分のお値段ときた。会場は元々ボクシングの観戦場だったらしく、バルコニーが会場四方をグルっと囲み、バンドを180度何処からでも上から眺められる。見上げれば天井がプラネタリウムの様になっていたり、サターン(土星)が壁にドーンと描かれ、場末な感じを醸し出す。

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Photo by Joshua Brasted

どこよりもウェルカムな「サザン・ホスピタリティ」

 今回筆者たちがツアーでお世話になったのは、ビッグ・フリーダ、シシー・バウンスなどでDJをしているDJ Rasty Lazer。アーティストの支援機関、ニューオリンズ・エア・リフトも主催するニューオリンズのキーパーソンだ。

 ニューオリンズ・エア・リフトのミッションは、町のアンダーグラウンド・アート、知られていない新しいアーティストやストリート文化など、生きている人間の文化と成長するニューオリンズの現代アートシーンを、展示やワークショップ、フェスティバル、パフォーマンス、コラボレート・プロジェクトなどを通し、世界の広範囲に繋げて行くこと。
 というのも、2005年のカトリーナ(ハリケーン。これにより、ニューオリンズは一部ゴーストタウンと化した)の被害の後、ニューオリンズは“復興”を必要としていた。そのキーとして立ち上がったのがエア・リフトだ。エア・リフトが今年2015年5月に開催したアート/音楽プロジェクト、「ミュージック・ボックス」の映像はこちら。

 大きなフィールドに、多様なアートピースを創り、ミュージシャンが音楽を奏でる。ディーキン(アニマル・コレクティブ)やイアン(ジャパンサー)、ニルス・クライン、ウィリアム・パーカーなど、面白い程にブルックリン他のなじみある顔のミュージシャンが参加していた。それほど注目度が高かったといえる。

 映像は、地元のフィルムメーカー、リンゼイ・フィリップスによるもの。このプロジェクトにも参加したうちの一人は、4年ほど前にブシュウィックで知り合ったアーティストだが、いつの間にかブルックリンからベルリンを経由し、ニューオリンズに引っ越していた。

「家賃の為に毎日働かなくて良いし、ブルックリンより、広いスペースにのんびりした生活環境。制作に時間をたっぷりかける事ができて、露出する場も、アートショー、パーティを初め、ニューオリンズ以外にもたくさんあるんだ」とのこと。

 街自体がアーティストに優しく、アーティストたちを支援するエア・リフト。可能性は無限大だ。そしてもう一つ、忘れてはならないのが南部の人の優しさ、「サザン・ホスピタリティ」。

 南部の人たちは、いわば「大阪のおばちゃん」。お世話好きで面倒見がいい。ライブで共演したバンドの友人は「何日でも泊まって良いよ」とサクッと宿を提供してくれたり、パーティがあれば、毎日の様に誘ってくれ、コミュニティを楽しみたい人なら誰でも受け止めてくれるのだ。

※実際の宿

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さて、実際にニューオリンズのパーティーへ

 今回はDJ Rusty Lazerが主催するパーティに遊びに行ってみたのだが、まず規模がブルックリンのウエアハウス・パーティーのウン倍。「パーティーといえばブルックリン」がかすむ程…。観光客の姿はまだナシ。
 ウエアハウスの中に入ってみると、回転車輪(ハムスターがクルクル回るもの。人間サイズ)、ポップコーン・バス(中で男の子がポップコーンをホップし続ける)、ダンスホールに映像部屋、野外映画、さらに仮装部屋(いろんなコスチュームが揃い、みんなで写真が撮れる)とエンタメづくし。実際のパーティ写真を見てもらおう(筆者がビール片手に酔い酔いスマホで収めたものなので、画質など悪いが許されたし)。

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 人々もハロウィン?と思うくらいドレスアップ。普通の格好をしている人の方が少ない。この日は週末だったが、平日でも人々は夜遅くまでお洒落して出歩き、ドレスアップが普通とのこと。DJ Rusty Lazerのクローゼットも色とりどりの衣装だらけだったこに納得…。音楽は、レゲエ、R&B、ヒップホップ、ロックもちろん、ニューオリンズ名物のバウンス・ミュージックも何でもあり。

 彼がDJし始めると、ダンス・フロアはヒート・アップし、汗を飛び散らせ、みんなで輪になりながら、音楽を体全体で感じていく。もちろん、朝まで終わらない。

 これが、いまのニューオリンズのアートと音楽事情。パーティーに命を懸け、「明日の仕事?そりゃまた後で考えるよ」がニューオリンズだ。
 今年は2月に、前述の一年に一回のお祭り「マルディグラ」もやってくるので(毎年時期が変わる)、いまからチケットを予約する事をお勧めする。ニューヨークにくることを考えているあなた、“ちょっと足を伸ばしてニューオリンズ”はどうだろう。伝統的な超陽気なカーニバルと、ミュージシャン、アーティストたちによるかつてない規模の音楽/アートシーンを目の当たりにしてみては。

 ちなみに、DJ Rusty Lazerをフォローしておくとよいですよ。彼をフォローしておけば、何かしらのパーティーに必ず辿りつけますから。

※ニューオリンズへは、ニューヨークからは直行便で3時間半。時差は1時間。

Writer: Yoko Sawai

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