Instagram、Tinderが新たな商売場所。 忍び寄るドラッグ・ディーラーたち。

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世界中の若者がかなりの高確率で利用しているアプリ、Instagram(インスタグラム)。
そして近年、欧米で圧倒的な人気を誇り日本でも利用者が増えつつある出会い系アプリ、Tinder(ティンダー)。
ライフスタイル表現のインスタ、恋人探しや気軽に遊ぶ異性を見つけるためのティンダーだが、最近の若者たちは“斬新な”使い方をしているのだ。

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 その使い方とは、“ドラッグ売買”。
ディーラーたちの新たな商売場所が、人気アプリなのだ。

 今月、英ガーディアン紙を皮切りに「若者のティンダーやインスタグラムを使ったドラッグ売買問題」を各メディアが報じた。知り合いにドラッグディーラーがいない、どこでドラッグを手に入れたらいいのかわからないティーンエイジャーや20代が、スマホ片手に日夜ドラッグを探している、というのだ。

ドラッグの写真を右スワイプ(Like)

 しかし、一体どうやって?いかにしてマリファナやMDMA(エクスタシー)、アンフェタミンなどのドラッグにたどり着くことができるのだろうか。

ティンダーの場合

 売り手は、まずプロフィール写真を、自分が売ってる薬物の写真や“マリファナの葉っぱ”などのシンボルに設定、「ドラッグ売ってるよ」とわかりやすく発信、興味が現れる相手が現れるまで右スワイプを繰り返す。

 買い手は、こういった“ドラッグ売ってるよ”を匂わせるアカウントが画面に現れた時に右スワイプ、つまりLikeをする。初めて売り手と会話ができるようになるのだ。
(※ティンダーでは、ユーザー同士がお互い Likeしないとチャットができない仕組みになっている)

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インスタグラムの場合

 売り手はこれまた自分が売っている薬物の写真と薬物の説明をまるで“広告”のように掲げ、買い手が食いついてくるのを待つ。

 ちなみに薬物乱用防止に取り組む団体「DrugAbuse.com」(http://drugabuse.com/featured/instagram-drug-dealers/)の調べによると、1日で見つけた”インスタ・ドラッグ・ディーラー”は50人で、その約3割は自身の顔を晒し、また5割は自分たちがいかに金を稼いでいるのを見せつけるように現金の写真を公開していたという。

 慣れている買い手は「#weed4sale(#マリファナ売り出し中)」や「#mdma」「 #mephedrone」とドラッグの名前自体をハッシュタグにして、検索。ヒットしたドラッグ・ディーラーのアカウントに記されている連絡先に直接メッセージを送って交渉する。

 交渉の時点ではドラッグのことを「research(リサーチ、研究)」と呼び、仮に捜査が入っても言い訳できるようにするのが特徴。
 支払いだが、買い手は直接売り手に会うか、もしくはPayPal(ペイパル:インターネット決済サービス)やVanilla Visa(バニラビザ:インターネット決済専用プリペイドカード)などを使ってオンラインで支払い、郵送で品を送ってもらうという。

プロフィールに“自営業”と書かれていたら絶対ドラッグ・ディーラー

 とまあ報じられたものの、実際はどれだけ若者×アプリ×ドラッグは親密なのか?

 アメリカ版2ちゃんサイトとも言われるReddit(レディット)や他のコミュニティサイトにいってスレッドを見てみると、実際には以下のようなものが多かった。

「ティンダーで知らないマリファナディーラーから“買わないか?”って聞かれたんです。本当は買いたいんだけど、やっぱり危ないかな?」
「ティンダー:新しいマーケティング、もしくは麻薬売買の場」
「インスタでマリファナ詐欺にあっちまった!」
「俺は偽ティンダーアカウントでいいドラッグをゲットしたよ」
「ティンダーで出会った女の子の家を訪ねに行ったら、麻薬のアジトだったんだ、最初で最後の最悪ティンダーデート」

…など、自慢話から失敗談まで。

 それからTwitter。140文字で語られるティンダー・ドラッグ話があるわあるわ。

「友だちが隣でティンダーをいじって、私たちにマリファナ売ってくれる人探している」
「420(マリファナを指すスラング)ってティンダーのプロフィールに載せたら4人の女の子に売れたぜ」
「ティンダーのプロフィールに“self-employed(自営業)”と書かれていたら絶対ドラッグ・ディーラー」

 など、本気なのか冗談なのかわからないツイートだらけ。アプリユーザーのには日常的にドラッグビジネスに足を踏み入れてしまう罠が仕掛けられていることがわかる。

 ティンダーで会った女からMDMAを買ったある女性は、こんな発言も。

「(フェイスブックと連携している)ティンダーでドラッグを購入する方が、知らない路上の売人から買うよりも、“何かあったら身元を追跡できる”ためよっぽど安全よ」

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トランスジェンダーが買い求めるドラッグ

 ティンダーやインスタグラムを徘徊し、ドラッグを買い求めるのは何も“ハイ”になりたい人だけではない報じられている。

 “違うドラッグ”を探し求めるのは、性転換期にあるトランスジェンダー。親の目やNHS(英国営医療サービス事業)の目をかいくぐり、ホルモン剤を購入するという声がLGBTコミュニティからあったのだという。

 事実レディットには、こんなトランスジェンダーの声が。
「どうやったらオンラインで処方箋なしにホルモン剤を買えるんでしょう?ずっと自分は女の子だって思ってて。ホルモン療法をはじめたいんだけど、ゲイを毛嫌いする両親には伝えられないから」

 ドラッグ売買の温床にもなり得るインスタグラムは、「マリファナや他のドラッグの販売、またその促進はコミュニティガイドラインに反する」と声明を出している。麻薬売買に直結しそうなハッシュタグをブロックしユーザーが検索できないようにしたが、新たなハッシュタグが作られるなど、いたちごっこなのが現状だ。

 出会い系サイトで一晩限りの相手ならず一回限りのディーラー求めた結果、一日限りですまない時間を刑務所で過ごすなんて、こんな間抜けな話はないだろう。親指でのスワイプだけで、人生棒に降らないように…。

[nlink url=”https://heapsmag.com/?p=6950″ title=”ギリギリすぎる若き“メッセンジャー”たち。 危険を犯してまでなぜ運ぶ?”]

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Catch image by Lindsey Kone
Text by Salita Kia

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