NYC、ゲトーなエリアは「チキンの骨の数」でわかる。 / URBAN ISSUEより

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今回は、編集部によるニューヨーク“現地の小話”100話を詰め込んだ
「URBAN ISSUE」(2014年9月下旬発行。好評につき完売いたしました)より、
選り抜きのストーリーをいくつかお届け。

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#001「チキンの骨の数でわかる、ゲトー具合」

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 アメリカ人の大好物といえばフライドチキン。オーガニックにこだわる人々が増える一方で、ファストフード店のフライドチキンの需要も衰えてはいない。特に貧困層が住むエリアでは。
 貧富の差の激しいアメリカでは「貧困層ほど肥満率が高い」というリサーチ結果が多数あり、一番の原因は、健康的な食品ほど値段が高く、不健康な食品(フライドポテト・フライドチキン・ハンバーガー、加工食品など)ほど安いからだといわれている。事実、筆者が以前住んでいたブルックリンのゲトー(貧困街)では、ファストフードやチャイニーズフード店ばかりで、オーガニックの「O」の字も見当たらなかった。

 日本でも悪そうな不良グループほど、真夜中にこうこうと光るコンビニの前にたむろする傾向があるように、貧困地区の“悪そうな奴ら”ほど、深夜にファストフード店でチキンを片手にたむろする。夜型の彼らは、立ち話をしながら、歩きながら、そして車に乗りながらと、さまざまなシチュエーションでチキンを胃袋に入れていくのだが、そのチキンの骨、彼らは一体どうするのでしょうか?

「正解は」というのも何だが、彼らは迷わず路上に捨てる。目の前にゴミ箱があろうがなかろうが関係ない。一本食べ終わるごとにポイ。その微塵の悪気もみせない捨て方の潔さといったら、もう、子どもの頃から培われた“百戦錬磨の賜物”としか思えない。特に、腰からズリ落ちそうなズボンをガニ股歩きで押さえ、無駄にワイルドにチキンにかぶりつく姿をみつけたら、百発百中で路上に捨てる。機会があればぜひ、賭けてみて欲しい。「あの人、チキンの骨、捨てるかな?」と。

 そんなわけで、道端に落ちているチキンの骨。この数を治安の良し悪しを測るバロメーターの一つとして推奨したい。独断と偏見ではあるが、3ブロック内に1本以上は「適度に注意」、1ブロックに1本以上は「細心の注意必須」である。ちなみに先日、アッパー・イースト・サイドの高級住宅街を10ブロック近く歩き回ったが、チキンの骨はおろか、タバコの吸い殻一つ落ちていなかった。

URBAN ISSUE
special3

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Photo by Kuo-Heng Huang
Text by Chiyo Yamauchi

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