ニャンだって? ブルックリン初“ワケあり”猫カフェ
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この猫ちゃん気に入った?じゃあ家に連れて帰っていいよ。

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先月、ブルックリン初となる「猫カフェ」が“期間限定”でオープンした。「あれ、今さら?」と、我々日本人にはもうすっかり聞き慣れた猫カフェだが、日本に多く存在する「猫とふれあえて、胸もお腹も幸せいっぱい」とは少々様子が違った。耳を塞ぎたくなるようなアメリカの野良猫事情に、“期間限定”にあるニューヨークならではのシビアな理由。世界に拡散中の猫カフェ人気、ここブルックリンでの現状とは?

“ワケあり”猫カフェ、約1,900万円

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 ほら見て!ニューヨークの猫カフェって、内観はもちろん店員に猫ちゃんもクールでしょ?…失礼しました。こちらは、今回紹介する猫カフェに飲食を提供している、向かいの自転車屋兼カフェ「Red Lantern Bike Shop」と、そこに住む気分屋猫ランドシャーク(最近その猫さん専用のインスタグラムもはじめたそうな)。

 昨年4月、アメリカ初の猫カフェがニューヨークにて4日間限定でオープンした。その初日の利用客は約500人。長蛇の列は建物を一周し隣のブロックまで続く大盛況ぶりだった。現在日本には世界最多の150以上の猫カフェが店舗を構えているのに対し、ニューヨークにはたったの4つ。その内の一つである「The Cat’s Meow」、先月ブルックリンに第1号店としてオープンした。しかしこちらは約1ヶ月の“期間限定”ポップアップストアだという。

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 人気がでるとわかっているのに「何で期間限定なの?」と聞けば「ここがどこだか分かってる?。ちゃんとした店舗を構えるにはリノベーション代や家賃、諸々あわせて15万7,500ドル(約1,900万円)が必要なのよ」と店のスタッフ。
 そう、ここは家賃が高騰の一途をたどるニューヨーク。彼らはいま、猫たちのパーマネント店舗を構えるべく、クラウドファンディングで資金調達を募っているが現実は世知辛く、現時点での寄付金は3,200ドル(約39万円)と、まだまだ先は長そうだ。

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営業時間外は「愛猫家合コン」を主催?

 アメリカでは、毎年約140万匹の猫がシェルター内で生涯を終えているという。昨年はニューヨークだけで、約2,400匹の“養子可能”な猫が殺処分された。また、推定数万匹のストリートキャット(野良猫)が交通事故・病気・飢餓などの原因で命を落としたという。
「この現実からどうやって目をそらせっていうの?」。引き取られたばかりの子猫に目薬をさしながらアンはいう。このカフェをオープンしたオーナーだ。

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 と、ここまで重めな話を続けてきたが、ただ寄付金を気の毒そうに募っているわけではない。営業時間外には、病院よりずっと低価格でワクチン接種が受けられる「ワクチンクリニック」や、猫の生態や飼育方法について学べる「ペットの育て方」といったワークショップが週代わりに開催されており、啓蒙活動にも一役買っている。さらには独身愛猫家を上手く利用した「シングルナイト」すなわち合コンなんかもある。このような遊び心も「The Cat’s Meow」の魅力の一つ。

みんなストリート生まれストリート育ち

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 この猫カフェのシステムはこうだ。ネットから予約をし(実際、予約なしのウォークインでも可)5ドルで30分滞在可能(実際、込み合ってないと追い出されない)。カフェとうたいながらも飲食提供はしていないので、冒頭で述べた道の向かいの自転車屋、もしくはデザートショップ「The Sweet Spot」で購入し持ち込んで猫とゆったりくつろぎタイム。さらにお気に入りの子を見つければ里親として引き取ることもできる。ここも、この「猫カフェ」の狙いだ。わざわざ予定を立てて「保健所」に猫を引き取りに行くのは、限られた人のみ。それを、“カフェ”という気軽さと日常的な装いで、“偶然立ち寄る”という機会を生み出している。そうやって訪れたお客さんに連れて帰ってもらえる猫も多いという。
 
 ここには販売目的でブリーダーに育てられた猫は一匹もいない。シェルターから来たか、もしくは元ストリートキャットだ。週末ともなれば、小さな子どもを連れた家族やペット禁止のアパートに住む学生、パートナーがアレルギーを持つ者など約300人の猫好きが訪れ、それぞれが猫との時間を楽しむ。オープンから一ヶ月経たずして、20匹の猫が里親と出会った。

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 実際、ペットを飼うにはお金も手間もかかる。子猫は購入すると高い。買ったはいいが「費用が….」とワクチン接種を拒む無責任な飼い主さえいる。世話が出来ないからと大型連休前に動物を捨てる人が後を立たず、注意喚起のテレビCMが流れたのはイタリアだ。
 日本はといえば、ほとんどの猫カフェが猫の体調やストレスを最大限考慮しているが、中には子猫・成猫問わず「レンタル」や「格安ブリーディング」などを行っているカフェもあるのが実情。人気を博しているからこそ、こういった様々な問題はもちろんあるだろう。
 
 一匹でも多くの猫のしあわせのために開かれたブルックリンの猫カフェ。ニューヨークにはいくつかのシェルターはあれど、大抵は受け入れ前に猫と遊ぶことは出来ないが、ここなら実際に猫の性格や自分との相性を理解したうえで迎え入れることができる。 猫のために長蛇の列に並ぶことをいとわない愛猫家が多いこの街で、猫カフェCat’s Meowには「暮らしをずっとともにできる猫と出会えるカフェ」として、できるだけ長くあり続けて欲しい。

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※1ドル121円で換算

Photographer: Kohei Kawashima
Writer: Yu Takamichi

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