全米最強の髭男は俺だ。
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毎朝、男性が決断を迫られる瞬間がある。それは髭を剃るか伸ばすかという選択。
後者を選んだ人には 「剃るのが面倒」「お洒落だし」「輪郭を細く見せたいから」など、それぞれなんとなくな理由があると思う。が、世界にはそれを男の美学と捉えて、スポーツのごとく競い合う男たちがいる。そこで今回は、全米ナンバーワン髭男を決定する大会「National Beard & Moustache Championships(口&あご「髭」世界大会 とでもしておこう)」の“スタイリングした口髭とあご髭”部門で優勝したスコットに、髭のアレコレや髭のある生活について色々と聞いてみた。

髭は生物学的に無意味!!?

 はじめに、ちょっと“髭とは”的なところから触れておきたい。その文化の訪れは、明治時代、文明開化。西洋人の立派なそれに威圧・感化され「自分たちも外見の威厳を備えたい」と伊藤博文をはじめ、政治家の間では髭が流行した。
 ところで、髭の生える理由については不明らしい。一般的に体毛が生える理由は、身体の保護という説が聞かれる。が、本来保護が必要な幼年期には薄く、女性にも基本的には生えない。そのため、髭に生物学的な機能としての意味合いは薄く、なんなら無用のものとされる。

18部門で競う、無用とされる男のロマン

 先月11月、ブルックリンにてそんな無用なものを真剣に競う大会「National Beard & Moustache Championships(口&あご「髭」世界大会)」が開催され、髭に自信のある男たち約300人が集結した。2010年、全米でベスト髭男を見つけ出すことを目的にはじまったこの大会。開催地はベンド、ランカスター、ラスベガス、ニューオリンズと巡り、今年ついにニューヨークのブルックリンにやってきたわけだ。ちなみに全米とうたっているが、世界各国からの参加ももちろん可能。本物の毛であれば女性の参戦も認められている(!?)。

 審査は3つのカテゴリー「口髭(Moustache)部門」「一部のあご髭(Partial Beard)部門」「フルのあご髭(Full Beard)部門」から構成され、それぞれ全18部門に分類される。出場者は7名の審査員により、独創性と創造性をふまえた見た目、スタイル、個性でジャッジされる。 
 厳しい審査のなか、見事「最高の名誉と来年の出場権」を勝ち取ったスコットに話を聞いた。

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HEAPS(以下、H):まず自己紹介をお願いします。

Scott Metts(以下、S):スコット・メッツ、32歳。フォトグラファー兼ミュージシャン。生まれも育ちもオーランド、生粋のフロリダボーイさ。

H:初めて髭を生やし始めたのっていつです?

S:自然と生えてきた頃からなんとなく生やしてた。ちなみにこの髭はもう3年くらい蓄えてるよ。

H:3年でそんなに(推定30センチ)伸びるんだ。なんで生やし続けてるのでしょう?

S:はじめはアクセサリー感覚で生やしてたんだ。でもここ数年、自分の髭の変化を写真で振り返るのが面白くってさ。どんな風に色や形が変わってきてるかとか。写真を見返した時は正直驚いたよ。自分の髭がこんなに変化していたなんて全然気付かなかった。

H:髭を生やしてから何か変わりました?

S:ある日「どこまで伸びるのか試してみよう」という“自分コンセプト”なるものを作ってみた。
おかげで辛抱強くなったし、髭がない自分は自分じゃないって思うようになった。今ではライフスタイルの一部。まだまだ伸ばし続ける予定さ。

H:「National Beard & Moustache Championships」に出場しようと思ったのは?

S:旅行する口実になるからさ!今年は開催地がニューヨークって聞いて、これは行くしかないって。あと普段はできないような経験が出来る。「National Beard & Moustache Championships」だけじゃなくて他の髭関連の大会にも、1年くらいずっと参加し続けてるんだ。

H:意外と軽いノリだったんですね。やっぱり、大会前にスペシャルケアとかも?

S:口ひげのスタイリング練習と、全ての長さが同じかを確認しただけで、大会前日までノータッチ。

H:ノータッチ?これまた意外。優勝した時のお気持ちは?

S:正直優勝できるなんて思ってなかった。勝つことって最高の名誉だと思うんだ。手強いライバルたちと豪華な会場で、本当に良い時間が過ごせたよ。大会の主催者には感謝と尊敬でいっぱい。

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H:その長くてボリューミーな髭、毎日のお手入れはどうやって?

S:毎日やってるのはブラッシングしてもつれをほどくこと。ミクスチャーオイルと香油も忘れずにね。たまぁに何もしない週もあるけど。普段仕事してるときは軽く三つ編みをしてるんだ。動きやすいし絡まりにくい。髭が健康的に成長するようケアしている限りは、不潔ではないから安心して。

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H:インスタ見てると髭友達が多いですよね。仲良くなるキッカケはやっぱり髭?

S:そうだね。これまで色んな大会に出場してきたおかげで、たくさんの髭友達が出来た。僕的には、みんな勝つためっていうよりも、楽しんだり友達を作るために大会に参加してると思うんだよね。コンペティションはおまけ的な。もちろん出場している以上、みんなライバル同士さ。だけど、それでバチバチするっていうよりも、和気あいあいな雰囲気。あとソーシャルメディアの力も大きい。世界中の髭男を繋げてくれる。たまに、ただ変わった友達が欲しいってだけの失礼な人もいるけどね。まぁ僕はお互いにリスペクトがあれば気にしないよ。

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H:もしさ、家族とかパートナー、上司が真っ剣に「今すぐ全部剃れ」っていったら剃ります?

S:はは、喜んで丁重にお断りだね!剃る予定は全くない。ガチで頼まれたとしても剃らない。逆に髭があってもなくても僕自身を受け入れてってお願いするよ。

H:髭、大事なんだね。他の大会に出場する予定は?

S:来年2月にテキサスのオースティンである大会に参加する予定。それ以外は特に決めてないけど、めちゃくちゃ行きたいところか、今まで行ったことがなくて良さそうな場所での大会を見つけ次第参加したいな。んで、最高の仲間たちと最高の思い出を作りたい。この髭が、次はどこに連れてってくれるのか楽しみだよ。

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「I love my life with beard(髭のある人生が大好きだ)」

 正直、期待していた返答がもらえず、肩すかしを食らったような気分だ。全米大会で優勝したくらいだから、もっとこう、髭に対する暑苦しいくらいの情熱とか、強いこだわりとか、睡眠時間を割く程のお手入れ方法なんかがあると思っていた。

 けれど、その自由気ままで気張らないライフスタイルと、プレッシャーを与えすぎない適度なケアが、この立派な髭をたくわえるコツなのだろう。そして髭を通して出来た経験や友達は、間違いなく彼の大切な財産なのだ。と納得することにした。


All images via Scott Metts
Writer: Yu Takamichi

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