「聖書は人生の道しるべ」クリスチャンブロガーが信じる、おこなう、毎日のキリスト教の教え、神への愛

Share
Tweet

※(取材・執筆は2020年夏となります。当時コロナ禍以降、社会の根本的な価値観が変わりゆく予感のなかで、HEAPS編集部では宗教の現在地についての探究を進めていました)

およそ3人に1人が信者といわれているほど、世界でもっとも信者数が多い宗教、キリスト教(ピュー研究所、2015年)。イエスを救世主として信仰し、イエスの名言「わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい」「与えなさい。そうすれば、自分も与えられます」の通り、神への愛や隣人への愛を大切にする。愛をもって神を信じれば救われると考え、イエスの教えなどを記した聖書を“人生を導いてくれる指南書”として大切にする。

日本でも、クリスマスやマザー・テレサ、チャペルでの結婚式など、クリスチャンではなくても物心ついた頃から文化や慣習として触れることが多いキリスト教だが、どこか荘厳でお堅いイメージをもってしまう人も多いだろう。その理由としては、「性行為は結婚するまでしてはいけない」「酔っ払ってはいけない」などという、現代社会では、ちょっと厳しすぎるでしょう…といったような教えを守る厳格な信者もいるためだ。もちろん、宗派や信者個人によって度合いは違う。が、いったい、現代のクリスチャン、特に宗教離れが進むといわれる若い世代の教徒は、どんな教えを守り、いまの社会のなかで生活しているのだろう。

取材対象者を探していると、あるブログにたどり着いた。「SHE LAUGHS MISSION(シー・ラフズ・ミッション)」。「ジーザスが大好きな20代です」と自己紹介するアリーシャという名前のクリスチャンの女の子が管理しているらしい。ここでは、カナダ在住の彼女が自身のクリスチャンとしてのライフスタイルや宗教観、日々の学びを発信している。とにかく聖書が大好きということで、もっと聖書への知識を身につけたいと、キリスト教の学校に通うことを自ら決意するほど。これまでの人生は、できるだけ聖書の教えに従って歩んできたんだとか。そんな彼女に、ブロガーとしての活動や、クリスチャンとしてのライフスタイル、宗教観、周りの同世代のクリスチャンについて、などを聞く。

——「紙の聖書も好きだけど、アプリもたまに使うよ」クリスチャンブロガー、アリーシャ

HEAPS(以下、H):「Faith Blogger(信仰深きブロガー)」と自ら名乗り、ブログやインスタで自身のクリスチャンとしての日々を発信しています。なぜこれを始めることに?

Alisha(以下、A):私がクリスチャンとして生きてきたなかで学んだことを伝えることで、誰かの助けになりたくて。それで、2014年の夏にこのブログを開設。自分の「クリスチャンとしての生き方や生活」を発信している。あと、キリスト教について教えたり、気軽に話し合えるプラットフォームにもしたくて。

H:クリスチャンとしての人生ってことは、小さいころから洗礼を受けて育ったの?
A:ペンテコステ派*の家庭に育ったんだ。私の両親、祖父母もクリスチャン。だから、私は、クリスチャン3代目。子どものときから「敬意をもつ」「嘘をつかない」「物を盗んではいけない」など、基本的なキリスト教の教えをしっかり守るように教わったよ。

*1900年代ごろに米国で始まった「聖霊運動(聖霊によるキリスト教会の刷新を求める運動)」によって生まれた宗派。プロテスタント派の教会グループに属する。

H:ブログ、見てみました。ある投稿では、アリーシャちゃんの聖書愛が綴られていた。高校卒業後、聖書学校に進学したとか。もっと聖書のことを深く勉強したかったからだそうで。

A:そう、4年半みっちり聖書について勉強した。高校卒業したときに、みんなもそうだと思うけど、自分がどんな方向に行きたいのか100パーセントわからないくて。だから、自分が信じるものをもっと理解しようと思って、聖書学校へ行くことにした。

H:学校ではどんなことを学んだ?

A:自分自身についてたくさん学んだ。自分個人のさまざまな価値観が、「あ、聖書が言っていることと同じじゃん」って気づきがあって。

H:聖書をとても大切にしている。

A:聖書大好き。だって、神が私たちにあたえてくださった言葉たちが詰まっているから。なんか、私たちだけに宛てられた特別な手紙みたい。聖書は、どうやって人生を歩んだらいいかの道しるべを示してくれるんだ。

H:最近は宗教に興味のない若者も増えているから、アリーシャちゃんのような若い世代が、自分の好きな宗教について話すことで、彼らにも興味が湧くかも。ブログの読者層は若いのかしら。

A:メインは、18歳から65歳の女性。彼女たちからは、いい反応をもらっているよ。(ソーシャルメディアの)フォロワーから、ブログ記事のトピックのアイデアをもらうこともある。もちろん、神の導きによって、伝えたいことを書いたものもあるけど。

H:ブログの記事、どれを読んでも、アリーシャちゃんの生活や体験、思ったことと、神のみ言葉や教えがきっちりと繋がっているよね。記事の最後には、聖書の聖句を残しているし。たとえば、『アフリカで学んだこと』という記事では、物資が足りない生活環境でも現地の人々がとても幸せそうに見えたことについて綴っている。

この記事の聖句は「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべてのことについて、感謝しなさい。これが、キリスト・イエスにあって、神があなたがたに求めておられることである」(テサロニケ人への第一の手紙5章16節~18節)。

A:2018年にウガンダに行ったときの話。わたしの両親は昔アフリカに住んでいたらしく、お母さんのお腹には私がいた。だからなのか、昔からアフリカとはなにかつながりを感じる部分があって、訪れてみることにしたの。本当にたくさんのことを学んだ。とにかく、カナダ(母国)とアフリカでは生活環境が大きく違う。アフリカでは豪華な暮らしをしてる人はほとんどいない。カナダで育った私は、ずいぶんと贅沢な生活をしてきたんだと気づかされた。

H:『一歩踏み出す』という記事では、生活のなかで経験する「変化」について書いています。転職したことや、通っている教会を変えたことなど。神が前に進みなさいと言われたら、恐れてはならないと書いている。聖句は、「わたしはあなたに命じたではないか。強く、また雄々しくあれ。あなたがどこへ行くにも、あなたの神、主が共におられるゆえ、恐れてはならない、おののいてはならない」(ヨシュア記1章9節)。

ちなみに、通う教会を変えることって、そんなに大きな変化なの?

A:そこの教会には、小さいころから家族と通っていた。だから、毎週顔を合わせていた人たちに会えないと思うと寂しくって。自分たちの教会に属することは、そこの大きな家族、コミュニティのメンバーであるといっても過言ではない。家族がバラバラになるような感覚というふうに想像してもらえればわかりやすいかも。

H:確かにそれは、ちょっと不安かもね…。教会にはどんな人たちがいるの?人種などのコミュニティによってわかれているとか?

A:私が通っていた教会は、いろんな人種やコミュニティの人たちが一緒に参加していたよ。これが、神が望んでいることだと思う。

——「最近は、クリスチャン・ヒップホップもあるよ」

H:ちょっと話題を変えて。アリーシャちゃんの日曜日の過ごし方を教えてください。キリスト教では日曜日は神聖な日とされ、みんな教会に集って祈りを捧げるんだよね。

A:日曜日はいつも、朝から家族で教会に行く。そして教会から帰ってきてからは、安らかに過ごす。月曜日が始まる前に、気持ちをリセットするいい方法だよ。

H:二日酔いで潰れてる…なんてことはないんですな。健全です。他に、クリスチャンが守るべき教えはある? 

A:聖書にはたくさんの教えが書かれている。「モーセの十戒」とか、その他にも「酔っ払ってはいけない」「婚前前に性交渉をしてはいけない」「隣人を愛せ」などなど。

〜モーセの十戒〜

出エジプトを果たしたモーセがシナイ山にて神から授かった戒律。旧約聖書に記されている。

第1戒 わたしのほかに、ほかの神々があってはならない。
第2戒 偶像を造ってはならない
第3戒 主の御名を、みだりに唱えてはならない。
第4戒 安息日を覚えて、これを聖なる日とせよ。
第5戒 あなたの父と母を敬え。
第6戒 殺してはならない。
第7戒 姦淫してはならない。
第8戒 盗んではならない。
第9戒 偽りの証言をしてはならない。
第10戒 あなたの隣人の家を欲しがってはならない。

H:勢いのお酒もセックスもなしか…。

A:いまの時代にこれらの教えを守って生活するのは、逆に社会でも目立つよね。

H:第9戒「嘘をついてはいけない」。これも、厳しく守っている?

A:そうね。嘘はつかないようにしてる。でも、常に正直でいることは簡単じゃない。正直すぎたことによって人を不快にさせてしまうこともあるし。

H:嘘ついちゃったこととかは?(まあ、人間だからそりゃあるよね!?)

A:そんなに完璧じゃないから、嘘をついてしまうこともある。嘘をついたら神へ懺悔し許しを求め、お祈りをする。お祈りをしている間に、心を浄化させるのよ。

H:第3戒に「主の名前をむやみに口にしてはいけないこと」というのがある。英語圏では、日常的に「Oh my God(オー・マイ・ゴッド)」という言葉を発するけど、軽々しく神の名前を口にすることは禁止されてるんだよね。

A:うん。たまに、神の名前をむやみに口にしてる人を見ると悲しくなるわ。でも、だからってその人を注意したりはしないけど。

H:ところで。時代とともに、クリスチャンのライフスタイルや宗教観など、変わってきている部分もあるのでしょうか。

A:昔もいまも、クリスチャンとしての信念に変わりはないと思う。でも、時が経つにつれ、たとえばクリスチャンの音楽シーンに違いは出てきたんじゃないかな。たとえば昔は存在しなかった、“クリスチャン・ヒップホップ”が、いまはあるよね。

H:へえ、聖書やキリスト教の教えを含んだ歌詞でラップしているんだ。それに、ちょっと話はずれるかもしれないけど、キリスト教の信仰心をもったラッパーカニエ・ウェストが「サンデーサービス」を開催したり、ラッパーのチャンス・ザ・ラッパーもゴスペルを取り入れたりと、なにかと最近のヒップホップ界隈とキリスト教は近い…ちなみに、アリーシャちゃんの友だちはクリスチャンが多い?

A:うん、クリスチャンの友だちはたくさんいる。けど、友だちが他宗教であろうと気にしない。大事なのは、常に敬意をもって接すること。

H:宗教離れが進んでいるといわれているけど、個人的にそれを感じてはいる?

A:私くらいの若者世代は、キリスト教を遠い存在だと感じている人が多いと思う。“年配の白人の宗教”というような固定概念があるのが原因のひとつといえる。でも、クリスチャンたちが若者にキリスト教のポジティブな側面を見せきれていないことも事実。

H:最近では、スマホのアプリ上で聖書が読めたり、ユーチューブで聖書の朗読ビデオを聞けたり、インスタグラムで聖書の言葉が読めたり。こういった、若者にもアクセスしやすいデジタルな聖書についてどう思う?

A:聖書が紙であろうと、デジタルであろうと、大事なのは聖書を読むこと。ユーチューブやインスタグラムのデジタル上で目にしたものも、れっきとした聖書の言葉だし、わたしはありだと思う。紙の聖書も好きだけど、アプリもたまに使うよ。

H:変なこだわりのなさが、いまの若者っぽいね。アリーシャちゃん自身、21世紀にクリスチャンであることについては、どう思っている?

A:クリスチャンであることのいいところは、孤独じゃないって思えること。自分よりももっと大きななにかに属しているというか。21世紀にクリスチャンの道を選んだということは、自分の強さを確認し、ときには社会の規範に沿わない選択をしたということ。自分自身を愛すること、隣人を愛すること、許すこと、忍耐すること、親切にすることをキリスト教から学んだ。

H:混乱期をきわめるいまの世の中には必要な教訓。

A:一人の人間として、いつもハッピーなわけではないし、完璧な人生を約束されたわけでないけど、答えを知っている神に奉仕する。ヨハネによる福音書16章33節にこんな言葉があるんだ。「あなたがたも心配しないで、安心していなさい。こんなにも念には念を入れて話したのは、そのためなのですから。確かに、この世では苦難と悲しみが山ほどあります。しかし、元気を出しなさい。わたしはすでに世に勝ったのです」

H:ところで、クリスチャンブロガー以外には、普段なにしてるの?

A:いまは病院の事務をしている!このコロナの時期だからこそ、患者さんに積極的に話しかけて、少しでも元気づけられればと思う。

H:助けが必要な人々に救いの手を差し伸べる。キリスト教の教えが仕事にも繋がっているんですね。大変な時期に取材、引き受けてくれて本当にありがとう。

Interview with Alisha Wesley

Images via Alisha Wesley
Text by HEAPS
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

↓↓↓毎日お知らせ含めて配信中。HEAPS(ヒープス)の公式ツイッター↓↓↓

Share
Tweet
default
 
 
 
 
 

Latest

安息日のブランチも、同性愛への考えも各々の価値観。ユダヤ教女性2人組がインスタから発信する、現代のユダヤ教の本質

※(取材・執筆は2020年夏となります。当時コロナ禍以降、社会の根本的な価値観が変わりゆく予感のなかで、HEAPS編集部では宗教の現在地についての探究を進めていました) ユダヤ教には「ラビ」と呼ばれる指導者がいる。律法(…

「自分を僧侶だと名乗ったことはない。ただ僧侶たちと一緒に暮らした」米ミュージシャン・ヒンドゥー教徒の神秘な道

※(取材・執筆は2020年夏となります。当時コロナ禍以降、社会の根本的な価値観が変わりゆく予感のなかで、HEAPS編集部では宗教の現在地についての探究を進めていました) 国内のみならず世界中でもツアーをおこない、スポティ…

「礼拝は“義務”ではなく“神と会話できる機会”」インドネシアから独に渡ったムスリム、異国の地で再確認した神への愛

世界のムスリム人口は約18億人。イスラム教といえば中東のイメージが強いが、実はムスリム(イスラム教信者)が人口の過半数を占める世界最大の国は、インドネシアだ。さまざまな宗教が入り混じるなか、イスラム教を信仰する国民は約8…
All articles loaded
No more articles to load