『捨てない』を叶えるデザイナーの、“一つしか作れない時計”
Pocket

年月とともに紙は日に焼けて小麦の色になっていて、ページが破けていたり恐らくコーヒーでも一滴おとしたのか、シミができていたり。誰もが持っている「愛読書」。
そんな一冊、本として開かなくなっても、クローゼットには仕舞いこまずに、今度は形を変えてずっと側に置いておきたい。テーブルに、ベッドサイドに。

Picture 9

 カチカチカチ、と針が音をたてて時間を刻んでいる。彼、Devin Kain(デビン・カイン)は長方形で分厚い時計しか作らない。なぜなら、彼が作る時計はすべて「古本」から蘇えらせたものだから。
その時計、「BookClocks」は、大事な一冊を“側”に置いておくリメイクデザインなのだ。

kain
Devin Kain ポートレイト

「作り方は簡単さ」ということでざっくり聞くと、古くなった本のページを下半分くりぬいて電池を埋め込み、表紙に針をつけるだけ。もともとはデビンが自身のぼろぼろになった愛読書を時計にしてウェブサイトで売り出したところ、注文が殺到。
「もっと大きいのはないのか」「ブルーのないの?」さらには「○○という本で作ったものはないのか」というリクエストまで。
そこで「ふむ、だったら、それぞれの大切な本で作ってあげたらいいのでは?」と思いつく。ウェブサイトで注文をし、本をデビンに送って1週間ほどすると、デビンから本が送り返されてくる。「時計」という形になって。

s_image (3)
s_image (2)
s_image (1)

 図書館の司書である母親の影響で、幼い頃からずっと本に囲まれて育ってきたというデビン。だから「ダメージの大きな本や、誰も手に取らなくなり、本の役割を終えた『知の体系』が、再生紙となって、ティッシュペーパーになって捨てられていくのに胸が痛んだんだ」。だから、本を捨てないで側に置いておける方法を探していて、時計に作りかえたんだ、と創作の種を明かしてくれた。 そして「これからも、愛用品を捨てないためのデザインを追求していきたい」とのこと。

 モノがその役割を求められなくなったとき、それは捨てどきではなく生まれ変わるチャンスなのかもしれない。思い切って捨てる潔さもいいが、時にはずっと側に置いておく方法を考える、クリエイティブな“整理整頓”もよい。とことん読んだ愛読書は思い切って形を変えて、今度はともに時をに刻んでいきたい。

Devin Kain
hatch.co/maker/lovehuestudios
——–
All images Via Devin Kain

Pocket

20160223061142
この記事が気にいったら
いいね!しよう
HEAPS Magazineの最新情報をお届けします

You may also like...