13年連続でSXSWに参加し続ける カラフルなおじさんに聞く!SXSWの音楽が特別アツいワケ
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主催者にキレるもよし、吠えるもよし、ビルからダイブなんてものも、またよし。

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「SXSWは、インディーズの文化だ」

もともとは「音楽」からスタートしたSXSW。アメリカのインディーズバンドが全国的に売れない現状を打破すべく、インディーズの人たちがオースティンに集まって「どうやったらインディーズが売れるか?」という勉強会をはじめたことからスタートした。だから、SXSWでは、どれだけ売れているかや知名度なんてことは関係ない。

「その場で、一番面白いことをやっているところに人は集まる」と話すのは、ニューヨークを拠点に音楽活動を行うPeelander-Z(ピーランダー・ゼット)のリーダー、イエロー氏。「米国でのライブ数1,300本越えてまっす!」という強者アーティストだ。SXSWは、なんと過去連続13回も参加し続けているという。そんな彼の視点を通して、SXSWのミュージックシーンの面白さをのぞかせていただこう!

戦隊コスチュームに身を包んだ「カラフルなおじさんたち」は、暴れた。

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HEAPS(以下、H):
はじめてSXSWに行かれたのは2002年。それから13年間連続で参加されているそうですね。

YELLOW(以下、Y):
はい。2002年は日本から参戦していた先輩のバンド(Electric Eel Shock)を観にいったんです。もうね、オースティンの街中から音楽が溢れ出していて。その雰囲気に一発でやられました!ダウンタウンにあるベニュー(ライブハウス)はもちろんのこと、レストラン、お店、裏庭、駐車場、いたるところがライブ会場に変身していて。世界中から、ええバンド、おもんないバンドがうじゃうじゃ!いまココで自分のバンドが演奏できないってことがくやしくてくやしくて。その気持ちが原動力になって、翌年の03年から2015年まで毎年参加、つまり13回連続でっす!

H:当初は、まったくのアウェイだったんですよね?初参戦ならではの、初々しいエピソードからお願 いします!

Y:最初はまず、名前を覚えてもらおうとハデな衣装でフライヤーをくばりまくっていたんだけれど、みんなに写真やビデオに撮られたり、別の街からきてるフェスのブッカーに声かけられたり。「今日、予定していたバンドがキャンセルになったんだけど、代わりにでか?」なんていわれて、急にライブが決まったり。街のレストランのマネージャーから「オマエたち、面白いからウチに飯食いに来い!」って誘われたり。街全体が、“面白いものには即反応!”っていう感じね!あまりの勢いに、こっちがビビったぐらい!

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H:予定調和じゃない、ライブ感や出会いっていうのは、かなり面白そうですね!ということは、一方で予想外の珍事件も多かったりするのでは?

Y:いつだったか忘れたけれど、参加したイベントで、主催者の手違いでメインを務めるはずだった僕ら(Peelander-Z)の出演の演奏時間が、たったの15分になっていたことがあって。お客さんも会場満員で、盛り上がっている真っ最中。2曲目の演奏途中に、突然、電源をぶった切られたんだよね。それでも生音演奏で続けていたんだけれど、主催者は「出て行け!終わりだ!」って俺等を追い払おうとする。すると、普段は誰よりも寡黙でおとなしいメンバーのレッドが、主催者の態度にキレて、吠えて、暴れまくった!その様子が誰かに撮られてて。なんと、翌日のローカル紙の一面を飾ってしまったっていう!

H:やりましたね

Y:もう「目立ったもの勝ち」といって間違いない。ギラギラしたバンドがそこら中で演奏している中、いかにして人々の注目を集めるか。とにかく目立たなければ埋もれてしまうんで、僕らはもう、いろいろやりましたよ!演奏中に道路へ飛出して車にひかれそうになってみたり、木にのぼってみたり、ビルの2階からダイブしたり。

最初は、もう参加するだけで楽しかったし、とにかく沢山の人に観てもらおうと、3日で9本ライブやったり無茶もした。いまとなっては正直、あまりにも大変で、何がなんだったか覚えてない(笑)。で、数年たって気づいた。「無駄にライブやるくらいなら、ライブを観にいく方がええ!友達をつくりにいくほうがええ!」って。

あと、SXSWの期間中は、「Official Showcase(SXSW公式のショーケース)」と「Unofficial(非公式)」がありまして。個人的には「Unofficial(非公式)」の方が、パス(入場券)が必要なかったり、野外だったり、ビールが無料だったりで面白いと思ってまっす!

「SXSWに行ったけど何も起こらなかった」は、“何もしなかった”

H:ところで、SXSWは「インディーズのミュージシャンにとっての“登竜門”」「ショーケース・ライブをやって、世界中の音楽関係者との商談成立のチャンスがある場所」だったと聞きます。イエロー氏にとっても、SXSWはそのような存在でしたでしょうか?

Y:たしかに、登竜門だとは思う。けれど、よっぽどのことがない限り、我々レベルのバンドをみに、メディアや音楽関係者がライブに来ることなんてない。期間中は、軽く2,000以上のバンドが、そこら中でライブをやっているワケやから。彼ら(メディア、音楽関係者)も事前に調べてからきているし、商業的に“売れるバンド”ってのは、良くも悪くも、事前に関係者を惹き付けるために、何らかのアクションをやっていますから。

たとえば、すでに知名度のあるアーティストは、SXSWの前にアルバムをリリースして、SXSWをプロモーションツールとして使ったり。SXSWは、全米中からレコード会社やメディア関係者が集まりますから、すごく便利なんです。

H:そういえば、ノラ・ジョーンズも2002年のSXSW直前にデビューアルバムをリリースしていましたよね。それでSXSWでスターバックスでライブをして、ローリングストーン誌などに大きく取り上げられて、その後、全米ツアーへといったステップを踏まれてましたね。となると、無名のアーティストが「SXSWでやったライブに“たまたま”、大手ミュージックレーベルの関係者が観にきていて発掘されました!」なんて話は、そうそう起こるもんでもないんですね。一方、それだとインディーアーティストたちのモチベーションにも影響するのでは?

Y:どうかなぁ。イベントの規模やカタチが変わっても、楽しみかたをみつけられる人は、いつも楽しくやれるんやないかな。SXSWには、いろんな「面白い」のカタチがありますから。我々みたいなバンドは、売れるかどうか、よりも自分たちや他のバンドがやってることの“確認”だったり、いまどんなバンドが面白いのかの“リサーチ”みたいなのをSXSWでやってます。

ただね、参加バンド数は多いし、はしごしたくてもライブ会場が離れていたりで、観たいバンドを観に行くのも一苦労で。それで、2010年から、オースティンに住んでいる友人の裏庭をかり て、自分たちのイベント『Peelander-Fest』を開催しはじめました。以来、毎年開催です。全米ツアーなどで知り合った面白いバンド(日本からも)に声かけて楽しくやってまっす!

あと、2011年から子どもも含めた家族イベント『Peelander Kids Show』も毎年やってまっす!ライブだけじゃなくて、アート、フード、オモチャなどをテーマに、年々規模も大きくなってきてます。自分は、何か新しいことに挑戦するというテーマで参加し出して、SXSWがより面白くなりました!まぁ、よく耳にする「SXSWに行ったけど何も起こらなかった」は、“何もしなかった、何も用意しなかった”ってことやね!

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SXSWとミュージシャンの戦略

H:近年、SXSWの軸であった「音楽」関係の参加者よりも、その他(インタラクティブ、IT、スタートアップ企業)の参加者の方が上まったと聞きますが、その影響は、SXSWのミュージックシーンでも感じられますか?

Y:ミュージシャンにとって、参加する方法や目的は、これからどんどん変わっていくかもしれませんね。企業とコラボレーションしたり、SNSを戦略的に使ってバズを起こしたり。ただ、SXSWのミュージックライブの勢力そのものは衰えていませんよ。音楽が売れない時代、なんていわれていますが、音楽のセールスとライブはまた別やからね。オースティンという街は、どんどん大きく新しく変化しているので、それに伴ってSXSWも変化してきているんでしょうな!そういう意味では、音楽、映画、インタラクティブ、どのジャンルも勢いは年々増してますよ!

この街には、「何かやろうぜぇ」ってなったときに、すぐはじめられる気軽さが、そこら中に転がっている。いろんなものを受け入れるふところの深さに惹かれてやみません!ギャハハ!

Peelander-Z(ピーランダー・ズィー)

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ニューヨークを拠点に活動するバンド。戦隊コスチュームに身を包み、奇想天外なパワフルパフォーマンスで老若男女を惹き付ける。全米各地のライブハウスを精力的に行脚。13年連続でSXSWに参加し、毎年話題をかっさらう。彼らの姿をひと目みようと多くの人々が詰めかけ、入場規制がかかることもしばしば。米国各地に熱狂的なファンを持つ。

Yellow氏イエローこと、黄色のセンター、Peelander-Zのリーダー/ギター/ボーカルを務める。ニューヨーク市クイーンズ区在住。音楽活動だけでなく、毎年夏期は、オースティンで子ども向けのサマースクールの講師を務める他、11年頃から、壁画アーティストとしても頭角を表すなどマルチな活躍をみせる。14年のSXSWでは、全参加者にくばられるトートバッグのデザインコンペで入選。

「またひとつ、新しいカタチで、SXSWに参加できた!」と喜びをみせる。 趣味は釣り。

Photos by Daisuke Yoshida

Interview by Chiyo Yamauchi

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